ある中小企業団体の全国集会に参加した際、震災復興の途上にある宮城県で、経営指針書作成勉強会に、今年度は13名の申し込みがあり、そのうち10名が土木建築業の経営者だったと聞きました。たしかに、震災復興で多忙な土木建築業だから、勉強熱心な経営者が沢山いる様に見えますが、本当の背景は復興特需の中で、『仕事はあるけど、人手が足りない。ようやく入った人も、すぐ辞める。景気回復傾向の中、より高い賃金へと動く求人競争下で人件費増加が圧迫する経営。売り手市場下で採用した人をどう教育したら良いか解らない。』生々しい現実の中、どう経営するか、悩み、苦しみ、現状を打開するために、必死にもがく経営者が増えている事を知りました。業界では、さらに2020年に東京で開催されるオリンピックに向けた建築ラッシュの影響が、この状況に拍車を掛け、求人競争は益々加熱すると心配されています。
ちょうど同じ頃、TVで似たようなニュースが連日流れていました。『ピーチ、バニラエア』格安航空機LCCは、パイロット不足で大量欠航せざるを得ない。ブラック企業と言われた『和民』は、今後大量閉店で人手不足解消と併せて労基対策をする。『すき家』では人手不足の為、臨時休業に迫られる店舗が急増している等です。過去の歴史でも、不景気から景気回復する時期に企業の倒産が増えました。潮目の変化に、どう対策が打てるか?どう備えていたのか?が大きく影響したためです。今回は、これに加え消費増税で逆戻りという荒れた状況が加わるのかも知れません。
人の手によって成り立つ美容の仕事では、社員の成長や増員が売上に大きく影響します。国家資格が無いと働けない上に、資格を取る学校への入学者が減少する美容界の今後は、他業種以上に求人事情が深刻になると言われます。それに備えて、もちろん労働環境や条件も改善しなければなりませんが、それ以前に、たとえ小さな会社でも自社の成りたい姿を明確にして、それを実現する為の戦略を整え、ヴィジョンを内外に発信する事が大切と感じます。本来、一緒に適えたい夢を伝え、賛同者を募る事が求人であり、夢を分かち合う事が教育だと思います。だから、それを伝える経営指針書が重要であり、大切なものとあらためて感じます。