近所のTSUTAYAに平積みされていた、20年前に出版された五木寛之のベストセラー「大河の一滴」の文庫本。最近新聞広告に載っていたのを思い出しながら購入し、初めて読みました。昨今の著名芸能人の自死やコロナ禍の鬱屈した時代に対し「生きる」を投げ掛けているかの様な文章に、1行目から引き込まれました。
20年前は、ITバブル崩壊の急激な景気後退での企業倒産、失業増と厳しい時代だった中、バブルの名残から、TVやメディアでは明るく楽しくが是で、根暗や真面目は否とされ、辛さを表に出しにくい風潮がありました。一方コロナ禍の今は、急激な景気悪化の中にあっても、表舞台に立つ人ほど、頑張る姿が求められたり、辛さや苦しさを心にしまう事を求められたり、自粛警察の様に正義を押し付けられたりで、息がつまる時代です。コロナで世界中が同じ様な鬱屈した状況になった今を抜け出すには、今までと違う考え方や生き方が求められています。
絶望感の先に見える希望があると著者は言います。どうなるか分からないけれど、もがき続けた先に見える可能性、ある意味絶望感の先にあるのが、本当の希望の光とも言っています。考え方をリセットする良い時代とも捉えられます。現実は、消して甘くありませんが…
大変な時代です。でもどんな時も「私たちの生は大河の一滴にすぎない。しかし無数の他の一滴たちとともに大きな流れをなして、確実に海へと辿っていく。」一つひとつのお店、一人ひとりの暮らし、ささやかではあっても皆、愛おしく尊い営みです。シンドイ時期です。みんな大変です。何か力になれることがあるかも知れません…。私たちでよければ話して下さい。共に生き抜いていきましょう。