ある会で、ご一緒させて頂いている先輩経営者の会社が開催する、経営指針発表会に参加させて頂く前日に、思いを巡らせていました。その方との出会いは20年前、平成14年1月の経営指針を創る会の合宿所だった鹿瀬温泉の赤崎荘。第一講での最初の講義が、その方の経営体験報告。創業の父上との確執や反発、社員との衝突、荒れていた過去の社内の様子。経営者として今までどう歩んできたのか、考え方がどう変遷したのか、生い立ちから現状の悩みまで、何も飾らず、何も隠さず、そのままの報告だったこと、今でも覚えています。
その講義で投げかけられた「何のために経営していますか」という質問に、「この会社を継続し、発展させるため」というだけの無難で味気ない答えをしていた私。間違っていませんでしたが、了見の狭い、自分の事しか考えていなかった私でした。社員との衝突を避け、当たらず触らずの毎日、本気でない自分、怖がっていた自分に気付かされました。本気で関わるから生ずる衝突や怒り、真剣に関わるから生まれる苦しみ。しかし、それを乗り越えて掴める達成感や充実感がある事、それが働きがいや、生きがいに繋がる事、それこそが幸せだと思える様になりました。そこから社員とその家族に、本気で幸せになってもらいたい、だから人が生き生きと働ける経営をしていかなければと思える様になれた事、本当に感謝しています。
その方の御子息がこれから後継者になり、会社の経営を引き継ぎます。会社を一緒に成長させてこられた社員と次の時代を担います。これから、どう進んでいくのか、更にどう成長させるかの指針発表会。記念すべき日に立ち会える事、この上ない喜びであり、感慨無量です。おめでとうございます。