気付いたら20年近く、ずっと御世話になった先輩経営者が、亡くなられました。その方との出会いは、経営指針を創る会。色んな業種の人が集い、助言者と受講生の立場で、私たちの経営における、何の為、誰の為を繰り返し問い掛けながら、考えさせられる研修の場でした。寂れた温泉地での合宿、40才になったばかりの私は、緊張しながら先輩経営者とのやり取りに立ち向っていました。時に辛辣で、厳しい助言に、時々気が滅入る事もありましたが、立て続けに先代社長を亡くした私にとって、先輩経営者の経験談や進言は、その後の経営の現場において、幾度も助けられる大切なものになりました。
その一つの言葉が、「違いと間違い」でした。人はよく、自分と意見の合わない人がいた場合、あいつは「間違っている」と決めつけ、否定し、時には遠ざけたりするものです。でもそれは「間違っている」のではなく、ただ「違っている」だけなんです。人は誰でも、置かれた状況や立場で、ものの見方が異なり、違う判断になるだけで「間違っているのではないんです」と教えられました。まず受け止めなさい、それから、どう隔たりを埋めるか、どう状況を変えるかを考えなさい。経営の現場で正確、不正確など何の役にも立たない。どうしたら良い状況を創れるか、良い関係に出来るかだけです。人と対峙するのではなく、人とどう向き合うのかを教えて頂きました。これが、よく口にされていた「人を尊重する事」の実践だというのを今は理解出来るようになりました。いろんな局面で、この言葉に助けられたこと、改めて感謝申し上げます。
ただ、やっぱりなんですが、恩を受けたにもかかわらず、直接お返しする事、出来ませんでした。このご恩、しかと後進に送っていかなければと思います… 合掌。